木山さんは、あたしたちが乗り込んだのを確認して、運転席へと座った。
「家どこ?」
レンに聞かれ、簡単に家までの道を説明する。
そして、あたしたち3人が乗った車は発進した。
こんなにあたしって不用心だったっけ?
こんな今日知り合った男の人たちと一緒にいるなんて、絶対に嫌な筈なのに。
今は……
全然嫌だとは思わない。
むしろ、いつもの電車に乗って帰るよりも。
ずっとずっと。
安心できた。
「杏奈。」
「何?」
ボーッと窓の外を眺めていたあたしはレンの方へ顔を向ける。
「これ。返すわ。」
そう言ったレンの手には、あたしがついて来た目的。
ストラップがあった。
