わっ、私の番だ…。
みんながこっちを見ている。
見られるから余計に緊張して、言葉が出ない。
「まっあ、松浦美優…です…」
声が裏返ってしまって、顔が真っ赤で恥ずかしくてみんなが見れない。
「美優ちゃん恥ずかしいんか」
「まぁまぁ、大丈夫だって」
よかったぁ…。
もう、こういうのは苦手過ぎる。
それからみんな入れたい曲を入れて歌っている。
私は恥ずかしいから全然入れていない。
「美優ちゃん、入れたら?」
と、私に声を掛けて来たのは田崎だ。
「歌ってねーじゃん」
歌わないのも、みんなに悪いよね。
うん、恥ずかしいとか言ってちゃ仲良くなれないし、入れよ!
「うん入れるよ、曲入れるの取ってくんない?」
「はいよ」
田崎が向かい側にある曲入れを取ってくれた。
「ありがとう」
「いえいえ。何入れんの?」
田崎はものすごく近い。
サッカー馬鹿だからそういうの慣れてると思ったら意外とチャラいな。
「あゆだよ」
「えっ、あゆ好きなの?」
「小学生の頃から大ファンなの」
♪~
聞き慣れたイントロが狭い室内に響き渡る。
私は小学生の頃から浜崎あゆみが大好きで、カラオケに来たら必ず歌うし、歌わないときなんてないくらい。
「松浦ぁ…これってSEASONS?」
「うん」
特にSEASONSは宝物のような曲。

