もう初夏を感じられるくらいの
暑さを感じながら教室の窓から
今日も校庭見ながらぼーっとしている。
そんなとき、

「菜月っ!俺の財布しらねぇ?」

そう言って慌てて教室に入ってきたのは
中学からの友達の遼太だった。

遼太と言ったら、
すごい人みしりの激しい人だけど
何回か話すうちにだんだん話が
盛り上がって最終的には馬鹿しあえる
楽しい奴。
そのうえスポーツマンで勉強もかなり
出来るオールマイティな人でもある。

「知るわけないでしょ~
 自分のバックの奥に入ってるとかじゃないの~?」

「見たんだけど無いんだよなあ」

「あるかもしれないからもう一回探してみなよ」

「おう。あっ!あった」

「ほらね?慌てんぼさんの遼太のことだから
 そうだと思った」

「知らん。でもありがと♪助かった
 じゃ俺まだ部活だからいくわ。じゃな」

またそこでドジをやらかして置いて行った野球帽。

好奇心でちょっとだけくんくんしてみたら
ほんのだけ甘酸っぱいにおいがした。

そして
野球の練習着姿の遼太にちょっとだけ
目を輝かせてしまったあたしがいた。

このときに気づけばよかったね。
あなたに少しずつ惹かれていってる
ってことに・・・