衝撃の告白から一夜明けた朝。


机に突っ伏す真由の姿を見つけて声をかける咲妃。


「で、あんた、なんであの佐藤優斗をふったの?」


咲妃の質問に対して真由からの返答はない。


「咲妃ちゃん、今何を言っても、真由ちゃんには聞こえないよ。耳栓してるから。」


「何で耳栓…?」


「『佐藤優斗を振ったから』って悪口言われるから、聞きたくないんだって。」


「…真由っ!!」


咲妃は真由の耳栓を取った。


「ひぁ!?咲妃ちゃん!?とっちゃだめ!」


「何でよ?」


「『ブス』とか、『身の程を知れ』とか、『調子のるな』とか、『死ね』とか聞こえるよぉ…。」


真由は余り細かいことを気にするタイプではないが、
その真由の気が滅入るほど、陰口はたびたび聞こえるのだ。


「あんたが悪いんでしょ?佐藤優斗を振るなんて…。」


「振ってない!!からかうなって言っただけ!!」


真由はいたってまじめに言った。


「本当に、からかってたの?」


「もちろん!あの佐藤優斗だよ!?

 モテるのに一人も彼女を作らないって有名な佐藤陸人だよ!?

 そんな人が冗談以外で、どうしてわたしに『彼女になって』っていうの!?」


真由は優斗の告白を全く信じていない。



信じられるわけ無いよ。



「まぁ、常識的に言ったら、真由の考えは正しいわね。」


「そうでしょっ?」


「でもね、アンタ非常識なことしてたのよ?分かってる?」


「…。」