マイワールド

「あ!

裕也に言ってなかったね。

私、今月の二十二日に中栄監督に会うことにしたから。」

「え?

マジ?

俺も会いたいよ……
っていうのは冗談で……
じゃぁ、それより前がいいよな?」

「うん。」

「いつがいい?」

「いつでもいいよ。

私もしばらく何もないから。」

「じゃぁ、十五日でどうよ?」

「平気。」

「決まりな!

俺達の初デート!」

「まだ『デート』って言わないで。」

「え?」

「初デートは中栄監督の映画でしょ?」

「そうだったな。」

公園までの道のりはあっという間だった。

まだ話していたかったが、
昼の公園で語り合う勇気はお互いになかった。

「じゃぁね。」

「うん。バイバイ。」

付き合う――。

それは予想ほど難しいことではなかった。

今だけかもしれないが。