マイワールド

コンコン――。

誰かがこの部屋をノックした。


中栄は慌てて涙を拭った。

「どうぞ。」

絞り出すような声で無理矢理言った。


園長だった。

「あ……おはようございます。」

中栄は慌てて立ち上がった。

「座ってて。

そのままでいいから。」

園長は優しく言った。

「……。」

園長は中栄の目の前の席に座った。

「どれくらい泣いたの?」

「……覚えていません。」

「おぉ。これは失礼。

いや、そっとしておいた方がいいのはわかっているのだけど、
どうしても気になってしまって。」

「……かまいません。」

「そうか。

……僕はもう、何度もいろんな動物の死を見てきたから、
それがどんなものなのか、
わかったつもりではいるんだけどね。

勝手な思い込みかもしれないけど。

君は初めてだっけ?」

「……はい。」

「悲しいか?」

「いえ。

悔しいです。」

「『何もしてやれなくて』?」

「それもありますが。」

そこで、この会話は終わった。

「改良工事が終わったら、
白クマの担当になってもらうから。」

「……はい。」


また、事務室一人になった。