――言われてみればそうかもしれない。
ネイルはいつも元気だが、
動きが鈍い。
睡眠時間も増えて……
「中栄さん!
園長、ついに折れましたよ。」
笹川(ささかわ)という若い飼育員がうれしそうな声で走って来た。
「本当か?」
「はい!」
「よくやったぞ!
あ……わりぃな。
俺、あんまりそっちに協力してなくて。」
「気にしないでくださいよ。」
「っていうか、
笹川はいつもこんなに朝早く来てるのか?」
「いえ。
中栄さんと重井さんにどうしても早く伝えたかったので、
今日だけ特別です。
重井さんにはもう伝えてきました。
園長は借金をしたそうです……
具体的にどこから借りたのかは教えてくれませんでしたけど。
設計は、重井さんのレポートを重視するそうです。
ですからそんなに時間はかかりませんよ!
工事に入る際、動物達は川村動物園に預けるそうです。」
「そうか。ありがとう。」
中栄は笹川の頭を軽くなでた。
そして、ふと思い出した。
「なぁ、ネイルのこと、
どう思う?」
「『どう』……と言いますと?」
「なんか、動きが最近鈍いっていうか。
なんかの病気かな。」
「……そう言われてみればそうかもしれませんね……。
川村動物園に移る際、
全ての動物の健康診断をするそうですから、
そのときに診てもらうのはどうでしょうか?」
「そうだな。ありがとう。」


