ネイルが今日も駆け寄って来た。
――もしかしたら、
柵がなくても安全なんじゃねぇか?
ネイルに肉をあげながらふと思った。
「ははっ。
んなわけねぇよな。
おまえは猛獣だもんな。
……待ってろよ。
もう少ししたら、
ここ、広くなるから。
サバンナみたいになるから。」
ネイルにそんな優しい言葉をかける中栄を、
他の職員達は見ていた。
実は、『動物園の改良』は誰もが望んでいたことなのである。
「中栄さん……」
中栄を見物していた職員の一人が、
思わずつぶやいた。
すると、中栄は瞬時に振り向いた。
「……!
見てたのかよっ!」
顔を真っ赤にして立ち上がった。
「バカ……。」
中栄の名前をつぶやいてしまった職員を、
何人かが軽く殴った。
「あの……俺らも『動物園改良計画』に協力させてください!」
他の職員が頭を下げた。
続いて、全員も――。
「おまえら……。」
――こんなことってあるんだな……。
俺は初めてこんな気持ちになった。
いや、中学の文化祭以来……。
そうだ、この団結力は、まるで学生だ……。
場違いな思い出から現実に引き戻されると、
中栄は彼らから目をそらした。
「そういうことは、重井優菜に言ってくれ。」
今にも涙が出そうな目に力を入れながら言った。
「ってことは、
中栄さんは俺らの協力オケーなんですか?」
最初に頭を下げた職員が、
目を輝かせて聞いた。
「……そういうこと……
だろうな……
でも、重井優菜が始めたことだから、
聞きたいことは彼女に聞け。」
完全に命令口調だった。
幸い、目上の人はいなかった。


