そんなわけで、
今日も面白くもなんともない学校へと出掛ける。


制服がいつもより重い。

こんな真夏なのになぜ半袖はダサイのだろう――と感じているが、
クラスの連中に更に陰口を言われるのは正直怖い。

だから、最低限スカートは膝上、長袖のブラウスはめくる。

ついでに第一ボタンは開けてリボンは延ばす。

面倒だが仕方がない。

なんだかんだ言って、
私って強いのか弱いのかわからない。


教室は賑わっている。

嫌われているけれど、
いじめられているわけではないから、机がひっくり返っていたりはしない。

「キャー! ハチが入って来た!」

クラスの女子が叫んだ。

私の元友達、レミ。

ハチぐらいで叫ぶな。

殺したら許さないからな。

いつもの怒りを覚えていると、ふと気がついた。

みんなの視線の先は私だ。

『ハチだって命あるもの』という作文を国語の授業で書いた記憶がある。

誰が読んだのだか知らないが、
噂の力はすごいと改めて感じた。

私は知らないフリをしてその場を乗り切った。

「おはよう。

みんな席着いて!

読書の時間だからね。

忘れた人は学級文庫あるから、
名簿に丸をかいて借りなさい。」

いつものハイテンションな国語の女教師。

「先生!

教室にハチがいます。」

レミがかわいこぶりの声を出した。

「何もしなきゃ刺さないよ!

はい読書!

読書!」

レミはむっとした顔を見せた。


私から言わせたら最高だ。

ナイス先生!

と叫びたくなってきた。