マイワールド

「は?

あたしは中栄未来監督の映画に出演することが夢なの。

相川さんみたいな何でもない人より、
あたしの方が絶対に中栄さんの力になれる。」

野兎は容赦なく反抗してきた。

「嫌みを言うためにここまで来たの?

そんなの、お互いに時間もったいないし、
あなたなんか他にすることあるんじゃないの?

わざわざ田舎までご苦労様。

桜日野兎さん!」

私がそう言った瞬間、
野兎の顔が急に穏やかになった。

野次馬が野兎を見に来たのだ。

「相川さん、無駄な争いはやめましょう。

あたし、皆さんに挨拶してきます。」

テレビの桜日野兎だ。

「やべぇ!

なんでいんだよ?」

「いやっ! 超かわいいんだけど。

野兎ちゃん、憧れなんだけどぉ。」

「何? 相川先輩に用があってきたの?」

「うっそ?

じゃぁ知り合い?」

「いいなぁ。」

全校生徒の半分はいる。


私は小さく舌打ちをした。


手を振る野兎を取り巻く集団――。

幸い、裕也も明もカナッペもいなかった。

「じゃぁ、相川さん、お互い頑張りましょうね。

中栄監督のために。」

私の耳元でそうささやいた野兎は、
抜群のスタイルを見せ付けながら学校を出て行った。

流行の服にサングラス――。

「外見だけじゃん。」

私はつぶやいた。