マイワールド

「違うよね。

違うよね。

ちが……。」

私は視界が広くなるのを感じた。


家の裏にある小さな段ボールの中に、
私の家族がいた。

「クリ……。」

そっとさわってみると、
とても冷たかった。


信じられない。

この段ボールは、
クリの寝床の一つなのだ。

「寝てるんでしょ?

驚かせないでよ……。」

私はクリを抱き上げた。

ぐったりとしている。

動かない。

「嫌……嫌だ!

なんで?

……。」

だんだん、私の声がかれていく。

「クリ?

『心臓だけダッシュ』って……。」

涙が溢れてくる。

「なんで……。」

手が震えてくる。

「……。」

声が出なくなった。

「彩音!」

母が駆け寄ってきた。

「……。」

母は目を丸くしてその場に座り込んだ。


これ以上、誰も何もしないでほしい。

母が目の前にいることに腹が立ってきた。

小鳥の鳴き声も、風の音も、近所の子供の笑い声も――聞きたくない。