コンコン――。
二時四十五分。
入院室にノックの音が響いた。
「角川先生、終わりました。
飼い主の岸村(きしむら)さんに電話してあげてください。
今すぐここにいらっしゃるように。」
金山先生が落ち着いた表情で入ってきた。
顔が引きつりそうな笑顔ではなく、
優しさに溢れた『笑み』だった。
「あなた達二人は、あたしと事務所に来てくれる?
解散式……って言ったら変かな?
とにかく、挨拶をするから。」
「はい。」
「はい。」
事務所で、金山先生、実、私は顔を合わせた。
実は慌てて、学校で用意してきたセリフを言った。
「昨日と本日の二日間、お忙しい中、貴重な体験をさせていただき、
ありがとうございました。
今回の体験を活かしていきたいと思います。」
金山先生は落ち着いた笑みで実の挨拶を聞いた。
「どたばたしててあまり体験させてあげられなくてごめんね。
その中でも何か伝わっていたら、あなた達は勉強家だね。
あたしも、あなた達の真剣な姿勢に感動したよ。
戸田くんにも伝えといて。」
「はい。」
「はい。」
ケンが『真剣な姿勢』だったとは思えないが、
そこは実も私も流した。


