マイワールド

「おまたせ!」

後ろから誰かが、私の肩を叩いた。

――ウーパーだ。

「おぉ。早いじゃないか。」

竹田さんは驚いたように言った。

「そうか?」

「あぁ。」

ウーパーと竹田さん――。

よくわからないが、
いいコンビに見える。

「彩音ちゃん、
こいつと話してたら、頭おかしくなっただろ?」

ウーパーは、竹田さんの隣に座って言った。

「あ、いや……。」

私は苦笑いをした。

「まったく……。

言葉音痴なんだから……。」

「『言葉音痴』?」

私は首をかしげた。

「方向音痴の言葉版だよ。

竹田は昔から、初対面の人に自己紹介もできないんだから。」

私は、吹き出しそうな、呆れてしまいそうな、
複雑な気持ちになった。

「ケータイ音痴に、言葉音痴……。

どんなコンビなんだか……。」

小声で呟いた。

「何か言った?」

ウーパーが私の顔を覗きこんだ。

「いえ、何も……。」

「それじゃ、僕はこれで!

お先に失礼します。」

竹田さんは立ち上がって、
さっきのウォークマンをウーパーに渡した。

「帰るんですか?」

別に引き止めるつもりはなかったが、
ついそんな言葉が出た。

「仕事があるからさ。」

そして竹田さんは、忍者のようにいなくなった。