輝星side


「ただいま…あれ?お母さん?」

放課後家に帰るとお母さんはいなかった。

「何これ?」
テーブルの上の紙を拾いあげる。


輝星、結城くんへ。

突然だけどママとパパお食事に行きます。
うふふ。いいでしょ?2年ぶりのデートをいくらあなたたちでも邪魔されたく無いので内緒でいきます。
ご飯は残り物で作ってね?
それじゃ今日は遅くなると思うので…。


「何…それ」

紙に向かって小さくぼやいた



 * * *


「ただいま」

玄関から結城の声がする

「おかえり」

「…ただいま。お母さんは?」

「お父さんと失踪…。私達借金のかたにされて…」

「冗談はいいよ。本当は?」


「…デート」
私が言うと結城は手から鞄を落とした


「あの年でかよ」

「しょうがないじゃん。まだ結婚3年目なんだし。で、今夜何食べたい?」

「…輝星が作るの?」

「何?文句あるの?」

「別に。じゃぁカレーでいいよ」

「分かった。カレーね」

――カレーなら私でも作れる


「じゃぁ出来上がったら呼んで。俺部屋にいるから」

そう言って結城はスタスタと部屋に入って行った。