結城side

教室。

一番後ろの窓際の席。

俺のお気に入りの席。


「おはよ結城」

「おはよう」

友達に軽く挨拶して俺はいそいそと席につく。

そして窓の外を見る。

――まだ輝星は来てねぇんだ…。

うちの一直線先にあるのは2年の教室。

輝星の教室。


しかも輝星は俺と同じ窓際の席。


いつもここから輝星を見てるんだ。


「あ…やっと来た」

下に目線を移す

校門に勢いよくかけこんでいる輝星の姿が見えた。

――生活指導に…怒られてるし


「馬鹿だなぁ」
くすくすと笑う


「何見てるの?結城」

「ん?…なんだよ」

俺の傍らに立っていた女を睨みつけた。


「またお姉さん?」

「関係ないだろ」

――どっか行けよ

「好きだよねーシスコン?」

「…うっせぇな」

「結城つれない。最近一緒に遊んでくれないし。今日は暇なんでしょ?」

「悪いけど…

もうお前とは遊ばない。」

俺が言い捨てるとそこにいた女は酷く傷付いた顔をして去っていった。




言いよる女はたくさんいる。



でも今はどれも欲しくない。






欲しいのは…


輝星だけ…