ポッポー……






船の汽笛が鳴る。






…この崖の見える場所から、











僕は飛び降りる。












…筈だったんだ。








「…あんた死ぬの?」



僕が船から飛び降りようとしたその時、声が聞こえた。




何処からかは分からない。でも透き通った声。



「あんた死ぬの?」


再び聞こえる。





僕は誰もいなくても答える。




「うん、死ぬよ」





その、見えない声がどんな答えをくれるか期待とかした訳じゃない。





…引き止めたって死ぬつもりだったから。