「……………」
明音さんが来てから…部活では武先輩とまともに話せてない…だから、朝練だけが唯一、私と武先輩が話せる時間。
「……………」
今日も一人でコツコツとメニューをこなす武先輩…かっこいいな。好きだな…
「…………」
あっ、練習やめた?
まだ早いよね…あと20分はあるのに…
「見すぎ…」
「えっ?」
「見すぎ…集中出来ない。」
「ごっ、ごめんなさい。」
私、そんなに見てた?
邪魔したらダメなのに…
「何か、悩み?」
「えっ?」
「最近、元気ねーから。」
「あっ…」
明音さんの事でそんなに悩んで見えたかな…?
そりゃぁ、最近武先輩とあんまり話せてないから落ち込んだり、私じゃ不釣り合いって落ち込んだり…って落ち込んでばっかりだった…
「なに、一人で百面相してんだよ。」
「えっ……あ、」
「明音?」
「っ…」
バレてた?
「図星か…顔に出過ぎ。」
「すみません。」
先輩はため息をついてから…優しい口調で話し出した。
「明音は…中学から同じ。あいつ体弱くて…最近まで入院してたんだよ。それで、友達とかあんまいなくて俺についてくんだよ…兄貴みたいに思ってんだろ…」
兄貴…違いますよ。先輩…明音さんは先輩を…本当に好きなんですよ。
「…だからさ、お前と仲良さそうで安心した。」
えっ?
「あいつがあんなに楽しそうに話してんの…久しぶりに見たから…あいつ我が儘だけどよろしくな?」
「…………は…ぃ」
喉の奥から絞り出した声は…震えてたと思う。
私は…羨ましかったんだ…先輩にあんな風に思われて大切にされてる…明音さんが…羨ましかったんだ。
だから素直に返事出来なかった…私、最低だな…。

