「お疲れ~!」

僕たちは2時間の練習を終え、譜面台を棚に戻し帰る支度を始めた。


「ちょっと皆、帰るの待ってくれない?」

松浦がそう言いながら、僕たちの方へやって来た。

「今更なんだけど…っていうかさっき散々言われて凄~く渡しにくいんだけど…これあげる。」

珍しく照れくさそうな表情で松浦はチョコレートを僕たちに差し出した。


…えっ?


(何なんだこのチョコは…大きさがバラバラじゃん。)

碧海にはチロルチョコが一粒。
浩史にはミニカー形のチョコの詰め合わせ。
そして、僕にはロイズの生チョコ。


「なんだよぉ。太一だけロイズのプラリネかよ~。贔屓だ!」

碧海が不平を漏らした。