僕と浩史は、二人の掛け合い漫才を聞きながら調弦を済ませ松脂に弓を擦りつけた。


「それじゃあ、練習を始めるよ。」

僕は”そうかぁ、彼女がいるのかぁ”と感心したように呟いている浩史を促してチェロを構えた。


午後の陽射しが射すレッスン室に、松浦の弾くピアノの音が軽やかに流れ、それを追いかけるように碧海のバイオリンが伸びやかな旋律を重ねていった。