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――今思えばきっと、この時すでにキミは、オレの心に居場所を作っていたのだと思う。
だって、キミの優しさと頑張れの一言がなければ、今のオレはいないから。
あの時もらった真っ白なマフラーは今でも大切にしまってある。
緊張をほぐしたい時、勇気を出したい時、この温もりに触れると力が湧いてくる気がするんだ。
結局、名前さえも聞けなかったキミ。
だけど、キミがオレの首にマフラーを巻いたあの瞬間から、白い色はキミの色。
冷たい雪のイメージを温かくした、
キミの色――……。
――そして。
‘また会えるといいね’
まさかこの言葉が、現実のものとなるなんて。
この時のオレは、全く予想してなかったのだけど……。

