「あの……ところでなんでオレが受験生だって分かったんですか?」
せっかくもらったマフラーが風邪に飛ばされないように、後ろで軽く縛りながら問いかける。
「ん?あー……なんとなく。
遠くからも緊張してるのが伝わってきたし、この雪に余裕なフリして焦ってる感じだったしね」
「う……」
……図星だった。
いくら早めに出てきてとは言え、雪は止む気配がないし。
90分遅れで間に合うと思っていても、なかなか進まない列にイライラしているのも事実で。
初対面の人にまでバレるくらいだったのだと思うと、自分の気持ちの落ち着かなさに気が引けてしまう。
すると彼女は、そんなオレを見て、またしても吹き出した。
「だからキミ、思ってること顔に出すぎなんだって。
大丈夫、だいぶ小ぶりになってきたし、もうすぐちゃんと動き出すよ」
その柔らかな笑顔に、なぜか心が安らぐ。

