「そんな事はない!!
人間は自分を犠牲にしてでも相手に尽くすし、信頼関係で結ばれる事だって出来る。
それに――」
「お前達は、まだ知らないだけだ。
まあ良い…
止められるものならば、止めてみろ。
止める事が出来ないと分かった時、お前達は絶望の中に立ち尽くす事しか出来ないのだから――」
知花の身体が再び脱力し、力無く頭を垂れた。
「あ、あれ、私……」
「知花ちゃん!!」
知花は店主の言葉を喋らなくなって、直ぐに意識を取り戻した。
縛っていた紐と布テープを外すと、知花は立ち上がった。
「最後のページを読み終えた瞬間、意識が遠くなって、それから後の事は全く覚えていないんです。
も、もしかして、これを私が…?」
知花は壊れたベンチを振り返り、私達に尋ねた。
「ん…まあ」
私と愛美は顔を見合わせて、苦笑いした。
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