催眠状態に陥ってから5分程過ぎた時、金属が裂ける音共に知花が立ち上がった!!
ベンチは根元から折れ、そのままの状態で車道に向けて歩き出そうとした。
止められない――
愛美も、私と同じ事を考えたに違いない。
しかし次の瞬間、知花は再びその場に座り直した。
そして、そのままの状態で俯き、動かなくなった。
「もしかして、催眠状態が終わったの?」
愛美が知花の様子を伺いながら、不安そうに呟いた。
「分からないけど、短い文章で長時間催眠状態には出来ない筈だから…」
でも、動かなくなったという事は、やはり終わっと考えるべきだろう。
私はゆっくりと、俯いたままの知花に近付いて名前を呼んだ。
「知花ちゃん…
ねえ、知花ちゃん」
私の声に、知花の身体が少し動いた。そして、俯いていた頭が、ゆっくりと上がってきた。
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