ついに、足首に巻いた紐が乾いた音と共に千切れた――
確かに他の場所とは違い軽く縛っていたが、到底女性の力で切れる様な物ではない。
韻による催眠状態下では、潜在的な力が解放されるのかも知れない。
そう考えれば、近くにいた人達がいくら止めようとしても無理だったり、考えられない様な力ではね返されたりする事も頷ける。
知花は膝より下が自由になった事で、地面に足を踏ん張り、立ち上がろうとし始めた。
据付けのベンチが、簡単に動く筈がない。
しかし――
知花の力は私の予想を遥かに超えて強く、靴が地面に埋まり、直ぐにベンチが軋み始めた。
このままでは、ベンチが根元ら壊れてしまう!!
知花が催眠状態に陥って、どれくらい時間が過ぎただろう。
この状態は、一体いつまで続くのか?
ベンチの軋む音は激しくなら、徐々に前後に動く幅が大きくなってきた。
限界だ――
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