目が覚めると、真っ白な壁が目に入った。
いや…壁ではない、天井だ。ベッドが白いカーテンで囲まれている事を考えると、どうやら保健室の様だ。
保健室…?
そ、そうだ前原は…前原は、一体どうなったんだろう!?
私は薄い煎餅の様な布団を跳ね除けると、ベッドから下りてカーテンを右に開いた。
安否を確認したかったが、6畳程の部屋には窓際に無人の机と椅子があるだけで、誰もいなかった。
私は慌てて保健室の窓に駆け寄り、埃で濃いグレーになっているサッシに手を掛けた。
しかし、私達の教室からは、同じ建物でも位置的に離れている事もあり、状況がよく分からない…
私は鍵を開け、窓から上半身を乗り出して左側を見た。
すると、そこには既に前原の姿も救急車の影も無く、数人の教師と警察官それにパトカーが2台停まっているだけだった。
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