「あ、千里――」

私は呑気に指を差している愛美を残し、その女の子の元に駆け寄った。


「知花さん?」

突然声を掛けられ、一瞬肩をすくめたが、女の子は私の方に振り返った。

「そ、そうですけど…もしかして、愛美さんですか?」


知花という女の子は、私の事を愛美と間違えているらしく、私の服装をチェックしていた。

「ああ、愛美はあそこ。私は一緒にいた千里」

「そうなんですか…すいません。栗原 知花といいます。」


肩までの少し茶色がかった髪を振り乱しながら、しきりに頭を下げた。

そこに、愛美がゆっくりと近付いてきた。

「私が城川 愛美で、こっちが里川 千里。愛美と千里で良いよ」

「こ、こんにちは。私も皆から名前で呼ばれているので、知花で結構です」


一通り顔合わせが済み、立ち話で終わる様な内容ではない為、近くの喫茶店に移動した。


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