かなり棘のある口調で、私の話に耳を傾けるという雰囲気ではなかった。
それはそうだ。
特別懇意にしていた訳でも無いし、当然ここに来る事も始めてだ。
それに、子供をあんな形で失っているのだ。当然といえば、その通りだ。
でも…
だからといって、私もここまで来て簡単に引き下がる訳にはいかなかった。
「前原君が亡くなった日、私は飛び下りる瞬間を偶然見ました…
あの日、朝も話しをしましたが、とても自殺をする様には思えませんでした。
きっと、他に理由がある筈です!!
今それを調べているのですが、私に前原君の携帯電話を、暫く貸しては頂けませんか?」
「お引き取り下さい。
やっと死を受け入れる事が出来そうになってきたのに、私達の心を掻き回す様な事をしないで下さい!!」
「で、でも――」
「帰って!!」
そこで、インターホンがブツリと切れた。
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