私は沙菜のすぐ側まで行くと、そこにあった丸椅子に座った。

「あのね…

こんな事があった直後に言うのもどうかと思うんだけど、沙菜の事も礼の事も…

それに前原の事も、催眠術か何かにかけられたんじゃないかと思うのよね」


突然こんな事を言い出して、嫌な気分にさせてしまうのではないかと、私は俯き気味に話しを切り出した。

しかし私が顔を上げると、沙菜は表情を曇らせるというよりは、驚いた様に見えた。


「…――そう、なんだよね。

私も落ち着いてきた昨日の夜、やる事は無いし、あの時の事を考えていたのよね。

思い出してみると…
歩いていると急に自分で自分の身体がコントロール出来なくなって、そして突然意識を失ったの。

死のうなんて、全然思ってもいなかったし…
もしかして私は、催眠術か何かをかけられたんじゃないかと」


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