翌日の土曜日――
10時過ぎに自宅を出ると、私は車庫の隅で埃を被っていた自転車を引っ張り出した。
中学生の時は使っていたが、高校は比較的近いし髪型が崩れるので乗っていなかった。
最後に乗って以来2年程経っているが、多少タイヤの空気が抜けているくらいで、十分に乗る事が出来る状態だった。
私は前後のタイヤに、自転車と一緒に放置されていた空気入れを使って膨らませると、沙菜の所に向かった。
自転車で15分も走ると、中井川総合病院に到着した。
建物に隣接する駐輪場に自転車を停めると、沙菜の病室へと急いだ。
見舞い客の多いエレベーターに乗り病室に行くと、昨日よりも随分と顔色が良くなった沙菜と母親が話をしていた。
「知花!!」
「おはよう。
ちょっと話があるんだけど…良い?」
「良いよ」
私の言葉に沙菜の母親が、また気を利かせて席を外した。
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