断罪者


私は沙菜の容態に差し障りが無い様に、10分程で病室を後にした。


エレベーターで1階に下り、蛍光灯が心細そうに照らす廊下を歩いて、自動ドアから外に出た。

やはり変だ…

沙菜から直接話しを聞いても、自殺するなんて有り得ない。それに、すぐ隣にいる私にメールで遺書を送ってくるなんて。


私は帰宅しながら、更に考えを巡らせた。

そういえば、沙菜は一緒に歩いていた時の記憶が途中から無いと言っていた。

事故のショックのせいだと言っていたが、そうだとは思えない。


色々な事を考えているうちに、いつの間にか自宅の玄関に立っていた。



私は帰宅すると真っ先に自室に入り、窓際にある机の横に鞄を置いて部屋着のジャージに着替えた。

そして指定席であるベッドの上に登り、壁にもたれて座ると、再びあの時の事を思い出そうと目を閉じた…


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