狭い病室には天井にカーテンレールが敷かれ、そこから白いカーテンが垂れ下がっていた。
そのカーテンの向こう側に、沙菜は穏やかな寝息を立てながら眠っていた。
「さっき麻酔が切れて起きていたんだけど、また眠ってしまって…」
私は差し出された、丸椅子に座った。包帯を巻かれた沙菜を見ると、無意識に涙が溢れていた。
「ありがとう知花ちゃん。あなたが手を引っ張ってくれなかったら、即死だったと…」
沙菜の母親は、私に頭を下げながら目頭を押さえた。
「いえ、私がもう少し頑張れたら…」
私は言葉に詰まり、それ以上話せなくなった。
本当にそうだ。
あの時、私にもう少し力があれば、沙菜は怪我などせずに済んだかも知れない。
そう思うと、後から後から止めどなく涙が溢れてきて、私は俯いた。
「あ、あれ…知花?」
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