翌日――
22時過ぎにバイトから帰ってきた兄は、リビングでテレビを見ていた私の所に真っ直ぐにやって来た。
「千里、昨日の電話した奴の実家に行ってきたぞ…」
「どうだったの?」
私は振り返ると、兄を見上げて尋ねた。
「駄目だ。そんなに仲が良かった訳でもないし、1年以上付き合いも無いしな、詳しい事は教えてもらえなかった…」
「そう…か」
私は兄の持ち帰る情報に期待していただけに、その答えに少なからず落胆した。
「でもな、それからそいつの仲良かった奴に会いに行ったんだ。
そうしたら、妙な事を言ってたぞ」
「妙な事?」
兄が話した事は、本当に不思議な話だった。でも、その話を聞いて、私もそして兄も確信した。
それこそが、あの店主が仕掛けた最後の罠だと――
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