断罪者


兄はそう言うと立ち上がり、リビングから出て行った。


まだハッキリとは言えないが、この何とも表現し難い違和感は、あの2つの事件の時と全く同じだ。
ただ、よく分からないのは、あのメールが送られて随分と日数が経っているという事だ。

もしあの時のメールが原因ならば、もっと早く色々な事が起きている筈だ。


とりあえず今は、兄が友人の自宅に行き、情報を集めて帰って来る事を期待するしかない…



一体あの時に、何件のメールが送信されたのか?

いや――


もしかすると、時間の経過を考えると、送信したメールが直接何かを引き起こす訳ではなく、そこから更に何かに続いていくのかも知れない。


どちらにしても、あの店主が使う物は韻だ。

つまり、何らかの文章を読ませる事により、一種の催眠状態に陥れその行動を強制する。


今回も、どこかにその文章がある筈だ。それは一体、どこにあるのだろうか?


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