遺書が届いた――。


送り主は、親友の1人である稲村 礼。小学生の時から沙菜と私の3人は、ずっと一緒だった。

それなのに…
何の相談も無く、そのメールを私に送信した直後、15階建マンションの13階にある自宅のベランダから飛び下りた。


遺書に詳しい理由などは全く書かれておらず、ただ――

「全ての人間が憎い。
許す訳にはいかない。
死んで悪霊となり、その罪を裁く!!」

と、書いてあるだけだった。



私は余りにも突然の出来事に涙すら流す事も出来ず、黒い服に囲まれ、微かに耳に届くお経を聞いていた。

信じられなかった。
あの遺書が届くほんの15分前まで、普通にメールで会話をしていたのに…


私とは対照的に、沙菜は隣で地面にしゃがみ込み、周囲の人達が振り返る程の声で泣いていた。


やがて黒い人波が2つに割れ、その真ん中を白い木製の柩がゆっくりと進んで行った…


.