自宅の前で降ろしてもらい、走り去る愛美の車を見送った。
自宅の駐車場を見ると、年代物のミニが停まっている。
珍しく、兄はバイトも無く家にいる様だ。
「ただいま」
玄関を開け靴を脱ぐと、すぐ右側にあるリビングに入った。
すると兄がソファーに寄り掛かり、テレビを見て大声で笑っていた。
私は煩いだけで面白いとめ思わないが、兄は芸人が出演するバラエティ番組が好きだ。
背後から兄の手元を見ると、紺色の携帯電話が見えた。
「ねえ兄貴…」
兄は私の呼び掛けを、聞き流す様にテレビを見続けている。
「ねえってば!!」
耳元で大声を張り上げると、兄は飛び上がって振り向いた。
「な、なんだよ千里…
お前な、心臓が止まるかと思ったぞ!!」
「無視するからでしょ?」
「……まあいい。それで、バイトが休みで寛いでる兄に何か用か?」
そんなあからさまに、嫌味な言い方しなくても…
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