断罪者


それから1時間余り話をしていたが、19時を過ぎ、愛美が見たいテレビ番組があると言うので帰宅する事にした。

愛美の車で来ていた私は、帰りも自宅まで送ってもらう事になった。


助手席で、前方を走行する車のテールランプをぼんやりと見ていた私に、愛美が思い出した様に聞いてきた。

「千里のお兄さんって、あの古本屋の常連だったよね?
お兄さんには、メール届いてないのかなあ…」

「そういえば…」


私の頭には、身近過ぎて兄の事など全く無かった。

でも確かに、高校の時に古典を教えてもらう為に、よく行っていたとか言っていた。


「帰ったら聞いてみる。でも、最近携帯電話変えたから、メルアドとかも変えてるかも知れない」

「そうかもね。
もしあの時のメールを受信してたら、何か怖い事がありそうだしねえ」

「な、何呑気な事言ってるのよ!!」

「ごめん、ごめん」


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