その頃――

踏切連続飛び込み自殺とケータイ小説作家連続殺人事件に関わった私(里川 千里)は、親友の城川 愛美と共に三春市駅近くの喫茶店にいた。

古本屋の店主が亡くなって以来、身辺に注意を払っているにも関わらず何も起きない事を不思議に思っていた。


あの店主の最後の言葉、それに死に際の形相を思うと、何も起きないとはとても考えられなかった。

ただ、あの店主が使う物が文章の韻である以上、事件が発生してある程度広まらなければ、探し出す事は容易ではなかった。



「千里、何か分かった事があるの?」

愛美がただでさえ甘いミルクティに、更に砂糖を入れながら私を見た。

「ない」

「もう何も起きないんじゃないの?失敗したとかさあ」


踏切連続飛び込み自殺事件の時に巻き込まれ筈の愛美が、呑気な口調で言った。

そうであって欲しい…


.