古本屋から出た私達は、直ぐに東都テレビの坪島さんに連絡し、危険がなくなった事を告げた。
そして、知花に事件が解決した事をメールで知らせた。
翌日――
朝比奈さんと二階堂さん、それに坂口さんに礼状を送付すると、私達は金山 タズコさんの手紙を持って禅福寺に行った。
手紙を遺骨と共に、埋葬してもらったのだ。
全ての事を終えた時、愛美が私に尋ねた。
「あの時、もしパスワードが違っていたら、どうするつもりだったの?」
「何も考えてなかった」
「はあ?」
「だから、何も考えてなかったんだって。
最初のうちは色々考えていたんだけど、何も考えられなくなって…」
古本屋は相続する人がいないため取り壊され、駐車場になった。
あと3年もすれば、あの場所に古本屋があった事など、みんな忘れてしまうだろう。
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