断罪者


「何だこれは…」


「それは、坂口 英二郎さんが処刑される前日に、金山 タズコさん…
つまり、貴女の母親から、まだ子供だった貴女に宛てた手紙よ」

「坂口 英二郎…あの、作戦本部の犬。私の母を殺した、張本人ではないか!!」

店主の髪が逆立つと、物凄い勢いで霊気が渦を巻き、一気に室内の気温が下がり始めた。


「坂口…
許さんぞ。人間は誰であろうが、絶対に許さんぞ!!」


店主の鬼気迫る形相に、私の足が膝からガクガクと震えた。

しかし、ここで引き下がる訳にはいかない。


「坂口さんはどうであれ、その手紙だけは本物よ。偽物かどうかは、読めば分かるでしょ?」

店主は私の言葉に、封筒から手紙を取り出すと読み始めた。


あの手紙を読んで思い直してくれれば良いが、そんなに簡単にいく筈はないだろう…


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