「もしかして、『好きな歌』決めたの?」

愛美が信号待ちの時に、助手席に座っている私の方を向いて尋ねた。

「決めた。
でも、当然それが当たりとは限らないから、もし違っていたら後の事は任せるよ。

任せるといっても、サイトを閉鎖するとかではなく、地道にネットで危険を訴えるとか…

今回は時間が無くて出来なかったけど、他にも色々と方法はあるでしょ。

それに、当然投げ出しても構わないよ」


不思議と私に気負いは全く無く、スラスラと思っている事が口から出た。

私の落ち着きぶりに愛美は驚いていたが、信号が青に変わり発進した。


店主にとって一番大切なものは、間違いなく母親の金山 タズコさんだった。

母親を殺され、人間に対し激しい憎悪を抱いたんだ。


だとすれば、好きな歌というのも、自ずと母親との間にある…


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