断罪者


嫌な予感は的中した。

カーナビゲーションを頼りに坂口 英二郎さん宅に到着したまでは良かったが、留守で不在だったのだ。

私達はすぐそばの路上に車を停めて待つ以外に、方法はなかった。


今の時刻は9:35。
この時間帯から出掛けているとなれば、もしかすると遠方に行っているかも知れない。

早く帰宅してくれれば良いが…


「どうする千里、他の情報を探してみる?」

「うん…
でも、もう時間も無いし、ここで待ってみようよ。

それに、もうこれ以上の情報源なんて見付からないよ」


私はそれより、最終的に入力する歌の事を考えていた。


いくら情報を得ようと、1曲に絞り込めるとは思えない。確率が上がるだけで、100%間違いない答が出る訳ではないのだ。


私がパスワードを間違えれば、大勢の人達が犠牲になる事も考えてはいたが…

それよりも自分自身が死んでしまう事を考えると、ここで投げ出してしまおうかと何度も考えた。


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