しかし、30分程経っても、一向に作戦本部の話にはならなかった。
私は仕方なく、こちらから作戦本部の事について尋ねた。
「あの…
二階堂さんは終戦間近の時に、作戦本部に配属されていたと聞いたんですけど」
「よく知ってるな。
そうだな、あの作戦本部で行われていた事は、余り誉められたものではない。
画策されていた事は、暗殺といった華々しい表舞台とは違う陰湿な事だったのだ。
今だから話せるが、特に言葉を使った暗殺計画は、わしにとって後悔しか残らん事だ…」
二階堂さんは湯呑みを口に運び、遠くを眺めた。
言葉を使った暗殺計画…これはおそらく、店主の母親の事を言っているのだろう。
私はすかさず尋ねた。
「後悔とは、どういう意味なんですか?」
「うむ……」
二階堂さんは目を閉じ、当時を思い出しながら話を続けた。
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