「あの、二階堂 茂治さんに、お会いしたくて来たんですけど…」
老人は納屋と母屋の間に設置された水道で手を洗いながら、ゆっくりと答えた。
「わしが、二階堂 茂治だが、何の用だい?」
やはり、この人が二階堂さんだ。
痩せた身体で大半が白髪になった姿は正に老人だが、まだ目は爛々とし力があった。
「第二次世界大戦の事を調べていまして、二階堂さんが詳しいと聞いたものですから」
「第二次世界大戦の…」
老人は若者に、自分の体験した事を話したいものだ。
二階堂さんは2つ返事で承諾し、玄関の直ぐ左側にある縁側に案内された。
縁側に二階堂さん私、そして愛美と並んで座ると、奥から老婆がお茶を持って出てきた。
二階堂さんの子供達は東京に出ていて、妻と2人暮らしとの事だった。
直ぐに二階堂さんは、第二次世界大戦の話を始めた。
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