断罪者


私達が松本駅に到着した時には、既に14時を過ぎていた。


「本当に遠かったね。もう、くたくただよ」

愛美の足取りが、すっかり重くなっていた。早朝から移動し続けているし、さすがに私も疲れた。

でも、こうしているうちにも残り時間は刻一刻と減っているし、泣き言を言っている場合ではない。


私達は直ぐに駅前でタクシーに乗ると、メールの住所を見せて二階堂 茂治さんに会う為に出発した。

車窓から見える日本アルプスも旅行ならば感慨深いものがあるが、今はただの高い山にしか見えない。


長野市方面へと続く道を15分程進むと、左折して旧家が建ち並ぶ集落へと入って行った。

そして、その集落の中程に建つ、黒瓦の民家の前にタクシーは停まった。


周囲は農地が点在する地域で、タクシーが通るとも思えなかった私達は、表で待っていてもらう事にした。


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