第二次世界大戦が、終わりに近付いた1945年6月…
既に敗戦が濃厚となった旧日本軍の総司令部は、起死回生の戦術として韻による敵対国の重要人物暗殺を計画しました。
韻とはリズム感と語尾の音が重要なので、それは日本語であろうがなかろうが、言語であれば有効だからです。
そして、総司令部が白羽の矢を立てた人物が、当時国内最高の漢詩人と言われていた金山 タズコ…
つまり、チズ子さんの母親だったのです」
店主の母親が、旧日本軍の暗殺者…
私は余りの話に、内容を十分に理解するには時間が必要だった。
「しかし…
それでは軍の協力者であって、功績こそあれ、殺害される様な事はないのではないですか？」
私がそう言うと、朝比奈さんは俯いて首を横に振った。
「私もそうですが、チズ子さんの母親も、暗殺者ではなく漢詩人だったのです…」
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