「どうぞ」
話を早く聞きたかった私達は、お茶などどうでも良かったが、急かす訳にもいかずおとなしく正座をしていた。
朝比奈さんはお茶を出すと、座卓を挟んで私達の正面に座った。
「やはり…
チズ子さんは、こういう事をしてしまいましたか」
やはり?
私は朝比奈さんの言葉に、違和感を覚えて聞き返した。
「やはり…とは、どういう意味なのでしょうか?」
朝比奈さんは一度目を閉じると、少し考えていたが、決心した様に話し始めた。
「貴女方は、チズ子さんの過ちを必死に止めようとしているのですから、お話し致しましょう。
チズ子さんは、日本人を酷く恨んでいたのです。
それというのも、母親を道具として使われた挙げ句に、殺されてしまったからなのですよ」
「殺されたんですか?」
「そうです」
朝比奈さんの話は、俄には信じられない様な、壮絶な内容だった。
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