玄関から顔を出した人は、白髪の小柄が老女だった。
しかし老女とはいえ背筋は真っ直ぐに伸び、凛とした目は威厳に満ち溢れ、私達は無意識に頭を下げていた。
「それで貴女方は私に、どの様な御用でいらっしゃったのですか?」
気圧されている場合ではない。店主の事について、話しを聞かなければ…
「金山 チズ子さんの事を、少し教えて頂けないかと思いまして…」
「チズ子さんの?」
朝比奈さんは店主の名前を聞き、明らかに無関係な私達を見ると身構えた。
何もかも見透かした様な視線に、私は取り繕って適当な理由を言う事を止めた。
信じてもらえる可能性は低いが、それでも分かってもらう以外に方法はない。
「信じて頂けないかも知れませんが、今からお話する事は真実です。
少しだけ、お時間を頂けませんか?」
しっかり目を見て話しをする私に、朝比奈さんは承諾してくれた。
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