「え―っと、朝比奈 節子…と」
インターネットで検索して分かれば、苦労しない。
私は全く期待せず、パソコン画面を眺めていた。言い出した愛美ですら、既に他の事を考えている様子だった。
朝比奈 節子――
意外にも、その名前で10,000件以上ヒットした。
余りに件数が多かった為、私は驚いてその内容を確認した。
「ちょっと愛美、これ見てよ…」
「な~に?」
立ち上がって机まで歩いてきた愛美が、パソコン画面を見詰めながら動きを止めた。
>朝比奈 節子。1935年1月生まれ。東京都出身。日本屈指の漢詩作家。作品集「晩秋の情景」――…
「漢詩の関係者…」
「うん、それに年齢も近い。もしかしたら、個人的な友人かも知れないよね」
朝比奈 節子という名前の検索結果には、他に舞台俳優や大学教授といった人物も含まれていたが、私達は漢詩作家だと断定した。
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