私達は学校から自宅とは反対方向に1キロ程行った所にある、地元の商店街に向かった。

人口5万人程度の街だが最近は再開発が進み、大手のファーストフードが出店していたのだ。


古い商店が建ち並ぶ昔ながらの通りを抜けると、突然視界が開け、再開発が進む駅前に出る。

ちょうど駅前と商店街の境界線に、ファーストフード店はあった。


「あ、あそこ空いてるよ」

沙菜が空席を見付け、小走りで席に座った。学校が早く終わった為か、店内は同じ高校の生徒ばかりだった。

私達は鞄を机の上に置き、カウンターに向かった。


選んだ物は2人共飲み物だけ、さすがに食欲は無かった。

席に座っても、2人の間に会話は無い。私と同じ様に、沙菜も何を話して良いのか分からないでいるに違いない。


しかし、5分程して沙菜が鞄から携帯電話を取り出した。


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