ファイルに綴じられた紙を1枚ずつ捲っていき、30枚余り見た所で手が止まった。
そして、そのページを開いたまま、私達の所に持ってきた。
「え―っと、金山チズ子さんの葬儀担当者は、住民課の木崎さんだね。
ほら…」
男性はそう言って、店主の火葬に関する書類を見せた。
「あ、木崎さんですか」
落ち着いた口調とは裏腹に、私はその紙を食い入る様に見詰めた。
店主の本名は、金山チズ子…
あれ?
なぜか、電報が1通そこに挟まっていた。
「これは?」
「ああ、ここに1通電報が届いたんだよ。身寄りもないという事だから、遺族に渡す訳にもいかず預かったままなんだよ」
「それなら、私達が墓前に届けましょうか?」
「本当かい?
いやあ、助かるよ」
私は挟まっていた電報を受け取ると、知りたい事も分かったし、早々に引き上げた。
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